PAGETOP

弁護士が運営する介護・福祉情報サイト外岡さんに聞いてみよう!
介護・福祉系弁護士法人 おかげさま
MENU
  • 外岡さんってこんな人
  • 本サイトの特徴
  • 介護事業所様のお問い合わせはこちらから
  • その他法的なお問い合わせはこちらから
知っておきたい!介護・福祉のトラブルについて
  • 実際にあった介護裁判事例
  • 裁判の仕組みと責任の認定基準
  • 介護・福祉の世界の用語辞典
相続について
タイトル 生命保険は遺産の範囲にカウントされるか
...
質問

関東在住の者です。お恥ずかしい話ですが身内の急逝後、その遺産分割で揉め調停まで行ってしまいました。遺産の範囲を確定するまで半年以上かかったのですが、前回の期日で突然相手方が、「生命保険金がそちらの相続人宛てに下りているはずだからそれも申告せよ」と言ってきたのです。生保は分割対象にはならないと聞きましたが、どうなのでしょうか。

回答

被相続人が死亡したことによって支払われる生命保険金は、原則として遺産分割の対象となりません。その生命保険金の受取人固有の財産となります。

もっとも、生命保険金が相続財産と比べ非常に高額となる場合は、公平のため「特別受益に準じて持戻しの対象となる」場合がある、とされています(平成16年10月29日最高裁判決)。

その判定は、生前の被相続人との同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮した上で判断するとされていますが、基本的には保険金が遺産総額の半分に達するほどであれば考慮される、と思われると良いでしょう。

先に紹介した最高裁では、遺産が5247万円、保険金792万円であり比率としては遺産の15パーセント程度でしたが、原則通り遺産としてはカウントされませんでした。一方で平成18年3月27日名古屋高裁判決では、遺産8423万円、保険金5154万円と遺産の61パーセントを占めていたため、例外的に持ち戻し(保険金額を遺産総額に含め、それを分割する)とする判決となりました。これを参考に主張を組み立てられると良いでしょう。