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リスクマネジメント・ご家族対応
タイトル 契約書の損害賠償規定の書き方
...
質問

特養の施設長です。ご利用者と交わす施設入居契約書中、損害賠償の規定の仕方は下記の通りとなっていますが、改善するとしたらどのように変更できるでしょうか。

「第〇条 事業所は、本契約に基づくサービスの実施に伴い、自己の責に帰すべき事由により契約者に生じた損害について賠償する責任を負います。第〇条に定める守秘義務に違反した場合も同様とします。
2 事業者は、前項の損害賠償責任を速やかに履行するものとします。」

回答

まず、2項の「速やかに」は削除した方が良いでしょう。主観に左右される表現であり、施設で怪我をしたご利用者のご家族からすれば、どんなに施設側で対応を急いだとしても「速やかに」なされたとは評価されないものです。誤解に基づく余計なトラブルを招きかねないので、余計な記載は極力省くことが得策です。

損害賠償の定め方は様々あり、誤りとされる記載方法はないのですが、外岡の考えるベターな賠償条項は次の通りです。

「第〇条 事業所は、本契約に基づくサービスの実施に伴い、自己の責に帰すべき事由により契約者に生じた損害について賠償する責任を負います。
2 事業所は、民間企業の提供する損害賠償責任保険に加入しています。前項規定の賠償に相当する可能性がある場合は、契約者又はご家族の方に当該保険の調査等の手続にご協力頂く場合があります。」

まず「第〇条に定める守秘義務に違反した場合も同様とします。」という元の文を削除しています。守秘義務に違反することは、大なり小なり起こりうるところ、毎回何かしらの賠償をしていたのではきりがなく、また不当請求に対応しきれなくなる危険があります。

この様な規定を置かずとも、本当に賠償相当と思われる事件であれば法的に請求することは可能ですから、敢えて置く必要はないのです。

肝心なのは、損害賠償保険に加入している旨明記することと、実際に保険適用の有無を調査する際に、ご家族に協力頂くよう事前に頼んでおくことです。そうすれば、いざ事故が起きても、搬送先病院の医療記録等、審査に必要な書類の収集につき委任状の作成等をお願いしやすくなるでしょう。

何事も先回りしておくことが大切です。