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労働問題について
タイトル コロナ関連:マスクは誰が用意すべき?
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質問

グループホームの職員です。コロナ感染予防には細心の注意を払っていますが、消耗品であるマスクはどんどん減っていき、底が尽きるのも時間の問題です。

うちの施設では会社が支給してくれていますが、「今後、マスクを各自持参とさせてもらうかもしれない」との話が上司からありました。ですが、私もぎりぎりのところで生計を立てているので、毎日マスクを自前で用意するのは正直きついです。

マスクを用意する義務は、会社にあるのでしょうか、それとも労働者個人でしょうか。もしマスクを用意できなかった場合、出勤拒否できるのでしょうか。

回答

会社が業務上マスクの着用を指示している以上、会社が用意する義務を負うものと考えます。

雇用主は従業員の安全に配慮する義務(安全配慮義務)を負うところ、一般にマスクは飛沫感染等を予防する効果があるといわれており、感染リスクが高い介護施設において従業員が安全に働くために必須といえます。その観点からもマスクは会社が用意すべきといえるでしょう。

会社がマスクを用意できないとき、この理屈からすれば出勤拒否することができ、かつ休業手当等の給与相当額も請求することができることになります。民法536条2項本文には「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。」とあり、マスクを用意できないことが「債権者の責めに帰すべき事由」と解し得るためです。

しかし、現実にはマスク不足は必ずしも会社の任務懈怠とも言い切れず、全国的な共通の悩みであるといえます。そのような中ですべきことは、労使間で権利・義務の主張を一方的にするのではなく、「お互い様」の心で助け合うことであると考えます。

例えば、「マスクは各職員が用意する」とする一方で、会社は予算の枠組みを見直し、一時的に役員報酬をカット、その分を「マスク手当」として職員に支給すること等が考えられるでしょう。