身元保証人の責任は退職後も有効か
訪問介護事業所を運営する者です。先月、元職員が同一地区で独立し同じ訪問介護事業を始めました。その者は、うちの利用者や職員に水面下で働きかけ、数名を横取りしていきました。就業規則や誓約書に定める競業避止義務に違反するとして賠償を求めたいのですが、この者の身元保証人に対しても請求はできるのでしょうか。
身元保証契約の期間内(最長5年まで)であれば、退職した後も請求可能です。ただし、身元保証に関する法律には「使用者は、左の場合においては、遅滞なく身元保証人に通知しなければならない。」(第3条)「被用者に業務上不適任または不誠実な事跡があって、このために身元保証人の責任の問題を引き起こすおそれがあることを知ったとき」(同条1項)とされており、原則として気づいた時点ですぐ保証人に報告する必要があります。
本件では退職後に気付いたとのことなので通知は後になっても止むを得ないためおそらく問題はないと思われますが、いずれにせよまず引受人に連絡を取り、事情を説明して賠償を求めるということになるでしょう。但しいわゆる競業避止義務の問題はグレーであり賠償義務の判断が難しいケースが多いため、確実に請求できるとの確証を得てから行動に移されるのが良いかと思います。