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タイトル コロナ関連:コロナ疑いでショート利用を断られた
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質問

自宅で84歳の母を介護しながら同居している者です。

先日、母が週3で通っていたデイサービスで感染疑いの利用者が出たとのことで、デイ自体をしばらく休業するとの通知がケアマネづてでありました。

母はここを気にいっていたので非常に困るのですが、取り急ぎ近所のショートステイに空きがあるとのことでケアマネが申込をしてくれました。

ところが、そのショートから利用を断られてしまったのです。理由は、「感染者が出て休業したデイに通っていた利用者も濃厚接触等の可能性があるため」とのことでした。

しかし、こちらとしてはそもそもどの利用者が感染疑いなのか知らされておらず、その方と母が同じ日時に同じ場所を共有していたか、接触があったかも不明ですし、その方ご自身も結果的に陽性だったのか等何も聞いておりません。デイに直接電話したところ留守電に切り替わってしまい誰も出ない状態です。

コロナは誰しも感染可能性がありますし、受け入れを躊躇するショートの思いも分かるのですが、このような理由で利用拒否されてはこちらの生活が成り立ちません。このようなとき、どうすれば良いのでしょうか。なお、母は熱もなく至って健康です。

回答

難しいですが切実な問題ですね。何とかショートと交渉して利用できるようにしたいところですが、法令では次の様に定められています。

「指定訪問介護事業者は、正当な理由なく指定訪問介護の提供を拒んではならない。」(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第九条(提供拒否の禁止)

(ショートステイは第140条の32で準用)


ここに、「正当な理由」とは

①当該事業所の現員からは利用申込に応じきれない場合、

②利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外にある場合、

③その他利用申込者に対し自ら適切な指定訪問介護を提供することが困難な場合、

とされています(居宅サービス運営基準解釈通知第3ー3(2)訪問介護を短期入所生活介護と読み替え)。


本件では元々空きがあったということですから①には当たらず、②も非該当です。

問題は③ですが、本件のような状況ではお母様が濃厚接触者なのか分からず、こういった場合にどう解釈・判断すべきか指針もなく悩むところです。

そこで、例えば一般的な待期期間とされる14日間を指標とし、「デイから感染疑いの知らせがあった日を起点として、14日が経過しても異常がみられなければ受け入れる」といった対応が考えられます。

家族側の交渉方法としては、「運営基準には正当な理由がない限り受け入れるべしとあり、待期期間相当を経過してもコロナ等の傾向は見られないから、受け入れて頂きたい」と申し出ることが考えられます。

一方ショートの側も、「受け入れて、万一発熱等あればすぐ医療搬送等の手続、ないし隔離措置をとらせて頂く」といった条件を付けることが考えられます。

このように、「受け入れるか否か」ではなく、条件を設けることで何とか両者が合意できる点を模索していく姿勢が双方に求められます。