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タイトル 特別定額給付金関連:認知症気味の高齢者の代わりにケアマネージャーが支給申請できるか
...
質問

在宅の独立ケアマネです。私の地域でもこれから10万円の特別定額給付金(特定給付金)支給が始まりますが、次のような場合はどうすれば支給してもらえるでしょうか。

私の担当する男性のご利用者(87歳)で、アパートに独居の方がいます。親族は皆無です。認知症の診断はまだ受けていないのですが、ここ数か月で急激に記憶力、判断力が衰えてきており、診断が必要と思うのですがご本人が嫌がり実現していません。

給付金のことを話題にしたところ、「貰えるものなら貰いたい」と言っておられましたが、お一人では住所、氏名を記入することができず、申請書を作成することは難しそうです。

オンライン申請はもちろん無理ですし、窓口に行くのもこのご時世ですから憚られます。もし窓口しか方法がなければ私が付き添いサポートするしかないと思うのですが、できればその方法は避けたいです。このご利用者は、どうすれば10万円を取得できるでしょうか。

回答

結論としては、ケアマネージャーが代理人として申請することが可能と考えます。もっともこの手続については各自治体が実務のオペレーションを定めるため、できれば市区町村の窓口に確認した方が良いでしょう。

なお本回答は、令和二年5月2日時点の情報に基づく小職個人の見解であるため、異論もあり得るところであり、また以後条例整備等によりこの問題が解決する可能性もあります。飽くまでご参考のための一情報としてください。

まず原点として、何らかの手続を自分以外の人に委任し、代理人として実行してもらうことは、無償であれば(=手数料を取らなければ)問題ありません。逆に、「申請してあげるから1割ください」等とやると、行政書士法違反で刑罰が科されます(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。

ですから、ボランティアで手伝う分には、家族でもケアマネでも、赤の他人でも法的には「代理人」になれるのです。この点に詐欺や違法行為が多発する危うさを感じますが、緊急状況下における迅速な給付のため書面審査のみとしている以上やむを得ないところがあるのでしょう。


考え方としては、「ケアマネの立場でそこまで深入りできない」という方もいれば、「手を差し伸べず結果一番必要とする人に10万円が届かないのはしのびない」として積極的にサポートしようとする方もいることでしょう。

絶対の正解はないのですが、一番いいのは、地域のケアマネージャー連絡協議会や地域包括、社協等、横のつながりの中でコンセンサスをとりルールを作り、役所に「うちは地域の自力で申請できないお年寄りや障害者をこの方法でサポートしていく所存ですが、問題ないですか」とかけあい、皆が了解して手続きがスムーズに進むことであると考えます。

「代理人は誰でもなれる」というのは流石に怖いですから、例えばケアマネが代理人になるときは資格証の写しを同封するとか、身元が分かるようなルールを追加すべきと考えます。

最悪なのは、地域単位、事業所単位で考え方が統一されず、各人が独断で行動しある者は手伝う、ある者は拒否するという様に混乱が広がっていくことです。この課題を克服するため、今こそ地域単位のソーシャルワークとしての結束団結が必要と考えます。

今回の支給は、いわゆるベーシックインカムの先駆けと思いますが、おそらく1回で終わらず2回、3回と続くでしょう。その度に毎回手続きができないために貰えない人が出たり、詐欺等の犯罪が多発しては意味がありません。


一連の書き方は以下総務省特設サイトの通りです。

特定給付金申請書の記入方法

まずこの申請書がご自宅に届いたとき、封を開けて読んで頂きます。よく理解されていないようであれば、「この紙に住所等を書いて郵送すれば、年金とは別に10万円が振り込まれるということなんですけど、私が代わりに書きましょうか」といいます。

「頼みます」と言われたら、上から順に本人に確認しながら埋めていきます。

一点、「氏名」の欄の右端に「給付金の支給を希望されない方はチェック欄に✕を御記入ください」とありますが、ここは絶対にチェックしてはいけません。それだけ気を付けてください。

申請書の一番下に【代理申請を行う場合】という欄がありますが、その「代理人」の欄にケアマネであるあなたの氏名住所を記入します。住所はケアマネの事業所所在地で良いでしょう。

その下に「上記の者を代理人と認め、特別定額給付金の〇〇を委任します。」という欄がありますが、この〇〇に該当する文言として一番上の「申請・請求」を囲みます。

一番最後の右端に、「世帯主氏名」の署名押印欄があります。ここは、「代理人を委任します」という本人の意思表示を証する欄なので、極力利用者本人に書いて頂く必要があります。

本件では問題ないかと思いますが、麻痺等で署名もできない方については「記名」という方法もあります(署名は手書き、記名はパソコン等で氏名を入力することを意味します)。しかし、この方法は原則ワードなどのデータで申請書をダウンロードできなければ取れない方法なので、郵送で届いた申請書に「記名」することは困難でしょう。

そうなると、「ケアマネが代筆できるか」という問題が出てきます。これは難しいところですが、原則申請できるようにすべきという考え方からは、例えばケアマネがご本人の名前を代筆し、その欄外に「代筆:ケアマネージャー〇〇」と書けばOKとして良いのではないかと思います。法的には口頭での委任でも成立するため、役所の方で検証しようと思えば申請者本人に代理の意思の有無を確認すれば足りるためです。