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タイトル マイナンバー・要介護度認定等の申請時に利用者のマイナンバーを記入する手続について
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質問

在宅のケアマネです。平成27年9月29日付け厚生労働省通知(老発0929第5号・介護最新情報Vol.496)が出され、来年の1月1日からの要介護認定の申請等の書式にご利用者のマイナンバーを記入すること、とされたと聞きました。

ケアマネとして、全ご利用者のナンバーを聞き出し管理しなければならなくなるのでしょうか?

回答

もう事実上通知カードの交付は始まったというのに、早速利用が来年1月からとは、無茶な話ですよね。

すでに限界を露呈している観すらあるこの制度、現場はいい迷惑ですが、ともかくも介護保険制度の枠組みで生きていく以上は食らいついていかなければなりません。

ご指摘の通知(496号)には、末尾に「介護保険事務に係る個人番号の利用に関する留意点などをまとめた事務連絡につ いては、10月中を目途に発出予定である」とあったので、いつ頃になるか厚労省老健局振興課に尋ねてみました(10月5日)。

すると、現時点では未定であり、10月中に出す約束もできないとのこと。

しかしマイナンバーは確実に全国民に配布されていくわけで、もしケアマネや施設としてこうした利用者個々人のナンバーを把握しなければならないのだとしたら一分一秒を争う事態です。

認知症独居の方であれば、きっと通知カードも失くしてしまうでしょうから、「やっぱりケアマネの自分が預かるべきなのでは…どうせ介護度更新のときに必要になるんだし」等と思われた方も多いかも知れません。

ですが、ここで慌てないことが重要です。

そもそも、ケアマネや施設は、対従業員の法人と同じ立場の様に、担当利用者のマイナンバーを全部集め、管理する義務を負うのでしょうか?

こうした立場を、番号法上「個人番号関係事務実施者」(以下便宜上「関係事務者」といいます)といいます。この、関係事務者に該当するか否かが運命の分かれ道となるのです。

その該当性判定については別のQAで取り上げることとし、ここでは結論を示しておきます。

次のリンクから、当座の対応方法の「イメージ」をまとめた資料をダウンロードし、今後の方針を見極めるための「たたき台」としてご活用ください

(※11月22日改訂版に差し替えました。従前と違い、上段の吹出し内文章において事業者が記入代行を極力しない方向に修正しています。)

1122改・要介護申請とマイナンバー・対応法

この論点について調査経緯を説明しますと、まず内閣府のマイナンバー・コールセンターに10月5日問い合わせたところ、内閣府としてはこの要介護度関連の申請業務は「任意で委任するものなので関係事務ではない」との回答でした。

既に外岡は前日に同じ結論を導き出していたのですが、内閣府があまりにあっけなく(理由も特段詳しく述べずに)非該当としたので、若干不安になったものでした。

実務上、この様にケアマネ等の事業所が関係事務者に該当しないとなると、ケアマネ等に利用者のナンバーを集中させることができず、結果マイナンバーの介護保険制度への普及・浸透が遅れることとなるという問題があるためです。

政府としては、ここまできたら形振り構わずナンバーの普及に突き進むのではないかと危惧していたのですが、「ああ、それなら良かった」と一安心。

その後、すぐ厚労省に電話したのですが、外岡の受けた印象としては担当者はその結論を聞きいささか驚き、残念そうな感じでした。

外岡としては、内心

(危ない危ない、もしかしたら「厚労省見解ではケアマネ=関係事務者、だから年内に利用者のマイナンバーをできるだけ集めて年明けの記入に備えてね」という論法で発表されていたかもしれない。無駄に終わるかもと思ったけどやっぱりこの関係事務者該当性について突っ込んでおいてよかった~

もし関係事務者とされてしまったら、在宅のケアマネは認知症の利用者が通知カードを失くしてしまう前に番号だけ控えさせてもらって、そのデータは大企業も中小も問わず課せられる厳格なセキュリティ義務に従って保管…?そんなこと施設ならまだしも、ただでさえ忙殺されている在宅の零細ケアマネにできるわけがないでしょう!その施設だって、厳密にいえば要介護認定関連の代行ができるのは「第四十六条第一項に規定する指定居宅介護支援事業者、地域密着型介護老人福祉施設若しくは介護保険施設であって厚生労働省令で定めるもの」と限定されている(介護保険法第27条1項)のであって、じゃあここに挙げられていないグループホームや有料等は関係事務者じゃないという扱いになるんですか?という面倒なことになるし…絶対無理)

等と次々と思いが湧き出ては消えている状態でしたが、ともかくも「内閣府は確かにそう明言しました。後で確認されてみてください」と得意満面でダメ押ししつつ、自分で否定しておきながら「それじゃあ、各申請ごとのナンバーの記載はどうすればいいのか?」という新たな問題が浮かび上がって来たのでした。

その問題につき、なるべく実務レベルにまで落とし込める様考えまとめてみたのが今回の資料になるのですが、その様な次第ですので、実は現時点(10月5日)で、そもそも「ケアマネや施設が関係事務者に該当しない」というお墨付きはまだ得られていないのです。現実には考え難いのですが、今後万が一でも、厚労省より「いや、ケアマネは関係事務者と認められるから利用者全員分の番号を集めてね」というアナウンスが出されるかもしれません。

そのときは止むを得ず従うしかないかと思いますが、ともかくも今回の通知を誤解ないし早とちりして、利用者からナンバーを聞き出そうと焦る必要はない、ということは確実にいえると考えます。

今回の資料は急ごしらえにつき不備や粗も多いかと思いますが、これを出発点に、事業所毎に対応策を講じて頂ければ幸いです。