デイの管理者です。ある男性のご利用者が最近パソコンを始めたと教えてくれたのですが、ご自身のブログに私を含め職員の氏名をそのまま載せデイサービスでの出来事を書かれていました。
私はこのデイで働いていることを明かされても特に抵抗はなかったのですが、他の職員から「個人情報の漏洩ではないか」「万が一トラブルになったらと思うと怖い」と訴えがありました。
このご利用者は気難しく頑固なところがあり、どのような伝え方をすればいいか悩んでいます。職員名を伏字にして頂き、またうちのデイであると外部から特定されそうな情報は極力控えて頂きたいのですが、どのように説明すれば良いでしょうか。
これは意外に難しい問題ですね。
職員の氏名も勿論「個人情報」に該当しますが、ブログを書いている利用者は規制対象となる「個人情報取扱事業者」に当たらないため、ストレートに「個人情報保護法違反です」と指摘することはできません。
もっとも、個人情報保護法の制度目的は「個人の権利利益を保護する」ことにある(同法第1条)ところ、職員にも憲法上プライバシー権(私生活をみだりに公開されない権利)が保障されていますから、誰がどこで働いているかといった私的な情報をネットで拡散してはならない、といえます。
このご利用者に対しては、例えば次のような伝え方が考えられます。
「せっかく書かれたブログですが、職員や他のご利用者等の個人名は仮名や別のイニシャルに変えて頂く等して、個人が特定できない様配慮して頂きたいのです。
私たちはこのデイで働いている間は一職員ですが、仕事を離れれば同じ一市民です。個人差はありますが、誰がどこでどのような生活をしている、といったことをむやみに開示されることは不安や危険を生じさせることがあります。
併せて、このデイサービスでの出来事を書かれること自体は問題ないのですが、具体的にこのデイであることが特定できるような住所等は極力記載しないで頂ければと思います。宜しくお願い致します。」
ポイントは、いきなりこちらの「権利」を持ち出さず、端的に何をしてほしいのか、なぜ困っているのかを伝えることです。
まずは相手の反応を見て、権利を主張するのはそれからでも遅くはありません。