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リスクマネジメント・ご家族対応
タイトル グループホームの家族会を解散させられるか
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質問

グループホームの経営者です。利用者のご家族や民生委員等を交えた「運営推進会議」(略して運推)を2か月に1度開催することが06年に義務付けられて以降、実践しています。

この運推の他に、うちには「家族会」というものもあります。運推では地域包括の職員や地域住民等、外部の方も参加されるため比較的平和に議題も進んでいくのですが、家族会はご利用者ご家族しか参加しないため、現実にクレームのはけ口となってしまっています。

本来は家族間の親睦と相互理解を深め、施設の行事や福利厚生等について幅広く意見交換することを目的として設置したのですが、毎回参加されるご家族で1、2人必ず苦情や恫喝的ないし過度な要求(「もし転倒させたら賠償請求する」「万一離設したら困るので、廊下のドアを施錠して欲しい」等)をしてくる方がおり、困っています。

先日など、理事会で決定し運推でも大方の理解が得られた家賃の値上げについて、家族会の代表が今になって絶対反対と言い始め、場が騒然としたことがありました。その人が急先鋒なのですが、あたかも自分に経営権があるかの如く振舞われるようになりました。

これでは現場が混乱する一方であり百害あって一利なしといえるので、いっそのこと家族会自体を閉鎖・終了させたいとも思うのですが、その様なことは可能でしょうか。

回答

結論としては可能です。運推は法律上設置が義務付けられていますが、家族会は飽くまで任意として置かれる機関に過ぎません。従って、飽くまでその家族会の会則に則り手続きを進める以上、解散という選択肢もあり得るのです。

指定地域密着型サービスの運営基準第85条には「おおむね二月に一回以上、…運営推進会議から必要な要望、助言等を聴く機会を設けなければならない。」とされています。家族会についてはその様な設置義務規定が存在しません。

運営推進会議で話されている内容としては、認知症グループホーム協会のとった統計データによれば、「日頃の活動報告、利用者の状況報告、自己評価や外部評価の結果報告および改善計画の提案」等が多いようです(2010年3月)。

一方で家族会はご指摘のとおり家族間の相互理解や親睦を図ることが第一義ですから、それを逸脱し経営にまで実質的に口出しする様な状況となっては、収拾が付かなくなり経営上危険な場合もあると考えます。

常にご利用者の便宜とサービスの質向上を目指していくべきことは言うまでもありませんが、経営に関しては運推の意見を考慮しつつ理事会などの役員会で決定、実行に移すという大原則を曲げることはできません。

ご家族同士の親睦の場が一つ失われてしまうことを思えば悩ましいところかもしれませんが、ご相談のように一部のご家族が逸脱行為を繰り返しており、主導権を取り戻す必要があると痛切に感じておられるようであれば、その様な対処が必要な場合もあるといえるでしょう。但し、前述のとおり必ず会則に則った手続きを踏むことと、解散を選択せざるを得なかった合理的理由を、過去の議事録等の証拠と共に説明できるよう記録しておくことが必要です。